本日は、宮崎駿監督が、映画「もののけ姫」の構想に行き詰っていた時に訪れ、衝撃を受けたという、国立ハンセン病資料館を訪ね、一目見て釘付けにになってしまった写真の作品を含む企画展や、常設の展示室を見学して参りました。
(「もののけ姫」に関連する記述はこの後、展示室2のところに譲ります)
街でポスターに目を奪われ、取り急ぎスマホで写真を撮ってから数か月、会期終了も目前にやっと行くことができました。
「キャンバスに集う~菊池恵楓園・金陽会絵画展」
と称されたこの展覧会は、
国立ハンセン病資料館で、2019年度春季企画展として4月から開催されており、
全国のハンセン病療養所の絵画サークルのなかで、高い評価を得てきた、
九州・菊池恵楓園の金陽会の代表的な作家10名の作品を東京で初公開したものだそうです。
まさか,、病と闘っておられる方の作品とはつゆ知らず、ポスターから放たれる、独特なトーンに魅せられて、惹きつけられるように行ったのですが、
隔離された環境で極限の生活を強いられた方々の、故郷への郷愁など外界への思いの強さに圧倒され、また、筆を握る手が思うように動かない方もいる中、技術的なレベルの高さにも驚かされました。
その実力は地元の熊本市現代美術館にも認められており、展覧会など開催されているそうです。
こちらの展覧会の会期は7月31日までとなっており、終了間際ではありますが、
とても素晴らしい作品ばかりなので、足を運べる方は是非お勧めいたします!
ところでハンセン病とはどんな病気なのでしょうか?
ハンセン病は「らい菌」に感染することで起こる病気で、主に手足の末梢神経が麻痺すると、汗が出なくなったり、熱や痛みを感じなくなります。皮膚も侵されてさまざまな症状が現れます。感染は免疫機能が十分に発達していない乳幼児期に未治療の多菌型患者が咳やくしゃみをした時の飛沫に含まれる「らい菌」が大量かつ繰り返し鼻粘膜に付着することにより感染が起こるといわれています。
※公益財団法人 日本財団 ハンセン病資料館運営チーム のパンフレットより引用
治療薬がない時代には変形を起こすことや治っても思い後遺症を残すことがあったため、主に外見が大きな理由となって社会から嫌われてきました。
koedaは子供の頃に母に勧められて観た「ベン・ハー」という名画で、主人公の母と妹が地獄谷?のようなところでライ病に侵されるシーンを観て、(その後奇跡によって癒されるのですが)恐ろしい病だな~と記憶しておりました。
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※「ベン・ハー」子に孫に伝えたい映画です!
しかし、現在では有効な治療薬が開発され、早期発見、治療により後遺症を残さずに治るようになりました。
そして、先日「キッチヒーラー」の学びの投稿でも触れましたが、世界はSDGsの17の開発目標にに向かって動き始めています。
この3つ目では「すべての人に健康と福祉を」や10こ目では「人や国の不平等をなくそう」と謳われているのですが、残念ながら、いまだ、ハンセン病の回復者への差別は根強く残っているそうです。
差別の原因のひとつには、正しい知識が不足しているということが言えると思うのですが、資料館の常設の3つの展示室を順路に沿って見学していくと、
〇ハンセン病は現代では治る病気であるということ。
〇実は非常に感染力の弱い病気であること。
などの正しい知識を得ることができて、
差別を受けた方々へ思いを馳せてみたり、自分がこのような差別にあったらどんな気持ちになるかを考えざるを得ない状況に追い込まれ(←感じ方は個人差があります)
多くの人が見学することによって、差別をなくしていくことにつながるのではないかと思いました。
なので、展覧会を見逃したとしても、常設の展示室の内容は大人も子供も是非とも知っておく価値があるかと思いますので、この夏休みなど使って遠方からでも足を延ばしてみてもよいかと思います。
まず、
展示室1
「歴史展示」
では、ハンセン病をめぐる歴史を政策を中心に学ぶことができます。
有効な薬が開発され、治療法が確立されたにもかかわらず、隔離政策が継続された経緯には胸が痛みました。
展示室2
「癩(ライ)療養所」
では、治療法ができる前の時代を中心に、療養所の部屋の中の状況を再現した展示や道具の展示など、立体的な展示が多く、子供にも飽きずに観覧できますが、リアルなので、大人でもショックが大きいです。
中でもkoedaが衝撃を受けたのは、「包帯巻器」と「重監房」でした。
療養所では洗った包帯を長い棒状の機器に巻きつけて、再利用していたそうです。
ガーゼなども再利用してたそうで、その衛生状況なども気になるところですが、もっと驚きなのが、その作業は子供の患者でも行っていたそうです。
人手不足な内部では看護師が足りないので、看病も患者同士て行っていたのだとか!切なすぎて涙も止まってしまうレベルの衝撃です。
撮影禁止だったので、写真を挙げられないのを残念に思いながら帰宅したのですが、ナント!この包帯巻器で包帯を巻くシーンが、宮崎駿監督の「もののけ姫」に登場していたということを後から知りました!
www.nippon.comこちらの記事によると、宮崎駿監督は(以下囲み内は上記記事からの引用)
「深い苦しみが集積した場所」に一度足を踏み入れてからは、何度も訪ね、特に園に隣接するハンセン病資料館の、療養所内で使われていた専用通貨を始めとする全国から集められた生活雑器の展示に衝撃を受け
全生園を訪れるたびに「おろそかに生きてはいけない。作品をどのように描くか、真正面からきちんとやらなければならない」と感じた
そうで、
映画の中では「実際にハンセン病らしき人を描きました。その扱いについて、無難な線ではなく、はっきり『業病(ごうびょう)』と呼ばれる病を患いながら、それでもちゃんと生きようとした人々のことを描かなければならないと思った」と語った。
そうです。
「もののけ姫」では「タタラ場」と呼ばれる製鉄所で働く包帯姿の人たちとして描かれておりますので、展示と映画を比較して鑑賞するとより一層関心や理解も深まるかと思います。
※「もののけ姫」夏休みに親子で見返したい映画です。
そして
「重監房」とは規則を破った者が入れられる懲罰施設で、分厚な扉の中は、ごくごく小さい明りとりの窓があるだけで、真っ暗! 食事はおにぎりと梅干1つずつ。冬は零下16度にもなったそうで、ここの再現展示でも、懐中電灯で内部を照らして、そのすさまじさを体感できるのですが、
※公益財団法人 日本財団 ハンセン病資料館運営チームによるパンフレットより 引用
草津の跡地には、実寸大でその過酷さを体感できる
「重監房資料館」もあるそうです。
ハンセン病という病があり、今は治る病気という事は知っていましたし、かつて差別があったことも聞きかじってはいたものの、その具体的な内容がこれほどまでとは、
ひとつひとつ衝撃が大きく、展覧会を観にやってきたことを忘れてしまいそうでした。
展示室3
「生き抜いた証」
では過酷な状況を生き抜いた方々の、証言映像を視聴できるコーナーなどがありました。
本日koedaは展覧会観たさと長女の夏休みの宿題のためにやってきましたが、いずれ、次女も連れてきたいと思います。
折しも、
安倍首相は24日午前、ハンセン病患者・元患者の家族らと首相官邸で面会した。家族への賠償を国に命じた熊本地裁判決の控訴見送りを踏まえ、原告団長の林力さん(94)ら家族に「政府を代表して心からおわびを申し上げる」と直接謝罪。原告以外の家族にも補償措置を講じる方針を説明した。
※時事ドットコムニュースより引用
とタイムリーなニュースも流れました!
この夏休み、お子様のいる方もいない方も、国立ハンセン病資料館を訪れてみませんか?
小学生向きのわかりやすい資料も充実していて、自由研究にもピッタリです!
何組かの小学生グループも熱心にメモを取っていましたよ!
ご興味をお持ちの方は、国立ハンセン病資料館のHPはこちらです。
最後までお読みくださりありがとうございました。
いつも応援ありがとうございます。